*

幼児教育におけるわらべうたの再評価 その役割と教育的意義とは? 

公開日: : 最終更新日:2022/09/15 わらべうた, コダーイの音楽教育

     

現代の子どもたちの日常生活には、音楽があふれすすぎているといっても過言ではないでしょう。

テレビやお店で流れている音楽は子どもの耳の残り、ずいぶん難しい音楽を子どもたちは歌っています。

メロディー、リズム、歌詞などなかなかこみいっているような歌でも、器用に歌っている子どももいます。

けれども、テレビで歌われたり、幼稚園や保育園で教えられたりする歌は、子どもたちに本当にふさわしい歌ばかりでしょうか??

幼稚園で使われる歌は、本当に子どもにふさわしいものでなくてはなりません。

そして、ふさわしい歌を選ぶには、子どもの姿を正しく把握していなければなりません。

力んだり、どなったり、不自然な発生をしていませんか?

音程を正しく歌えていますか?

高い音になったとき、声が上がりきらずに音程がはずれていませんか?

子どもが出会う音楽の影響はとても大きいものです。

有名な音楽教育家、コダーイ・ゾルターンもこのことについて、「もし、私が最初に出会った音楽が俗悪なものだったら、今日の私はなかったであろう」と述べています。

世界中で歌われている「わらべうた」を教育的視点からみていきましょう。

 

「わらべうた」なんて古くさい!?わらべうたのメリットとは?

言うまでもなく、音楽によって子どもの情緒は豊かに、安定して育ちます。

それだけでなく、音楽は同時に子どもの知的発達にも、身体・運動機能の発達にも、社会性の発達にも大きく役立ちます。

子どもの発達すべての面に大きな影響力をもつ音楽であるからこそ、保育者はその選択や用い方に細心の注意と準備をしなくてはなりません。

私たちは、私たちの伝統文化や、伝統音楽をどのように考えているでしょうか?

日本の伝統音楽だから貴重だというのではなく、わらべうたにはたくさんの教育的メリットがあります。

わらべうたからみた「教育」の3つの方向性

わらべうたのメロディー「音楽的特徴」

わらべうたは子どもの遊びから生まれた歌ですから、子どもたちが無理なく歌える音でメロディーが形づくられているのは当然のことです。

しかし、現代のよく聞かれるような、高音域の複雑なメロディーに慣れた耳には、単純すぎてつまらなく感じることもあるでしょう。

けれども、もう一度、子どもの発達段階を踏まえた視点から見直してみてください。

個人差もありますが、幼児期の子どもの声域は、5度から広くても8度ぐらいです。

しかし、幼稚園や保育所で歌われている歌のほどんとは、これを超える高い音、低い音が使われています。

声域に会わない音ははずれてしまいます。

これは、明治以来(1882年)以来の教育方法でしたから、もう100年以上たち、世代にすれば3世代にわたります。

けれども、近年の研究の結果では、私たちが先祖から受け継いだ音楽感覚は、そう簡単に消え失せるものではないことがわかりました。

たとえば、日常の呼びかけや、はやし言葉です。

♪ はなこちゃん あそびましょ

♪ あーしたてんきに なーあれ

 かくれんぼするもの よっといで

この呼びかけ言葉とも、はやし言葉ともいえる音型は、わらべうたの要素で成り立っています。

つまり、わらべうたの原型ともいえるのです。

 

【本当は・・・無伴奏のうただった!!】

子どもの遊びに合わせて、室内、室外、どこでも即座に歌うことのできるのがわらべうた。

子どもと向き合って、お互いの声をよく聞きながら、歌う楽しさを表情にもあらわして歌うと、うたの心がよく伝わるでしょう。

もともと、ピアノと人の声とは異質です。

ピアノの音から上手に音程を出せない人でも、人声からだと、もっとたやすく同じ高さの声を出すことができます。

聴覚、発声能力、認識能力全てが発達中の子どもにとっては、ピアノに合わせて歌うこと自体が、大人が想像する以上に難しい課題だといえます。

ピアノを使わないで歌う経験を、幼稚園や保育園に取り入れられて欲しいと思います。

うたの内容をお話のようにイメージをもって歌うとき、うたの楽しさはうんと増します。

子どもと顔を合わせて、お互いの表情を見ながら歌う機会がもっとあるといいですね。

必要なときに、子どもの声の高さに合わせて、すぐに歌えるということは、教育的にみて大きなメリットです。

 

子どもたちは、歌い、遊ぶことによって、例えば付点符・三連符・五連符等や、曲の途中で拍子が変化するような難しいリズムでも、知らず知らずのうちに習い覚え、使いこなしていきます。

たとえば、よく知られているてまり歌「あんたがたどこさ」でも、途中で拍子が変わったり、複雑なリズムが使われたりしていますが、みんなそれとは気が付かずに遊んでいるでしょう。

 

>>わらべうたの音楽的特徴とは?

 

母子のぬくもり「心理学的特徴」

子どもが遊びを通して学び、成長していくということは、心理学・教育学からも立証されています。

わらべうたは、祖母から、そして母からわらべうたは受け継がれてきました。

愛情をもってうたわれる素朴な歌や、あやし言葉は、乳幼児にとっては、なにものにもかえがたい貴重なものです。

肉親のこのような関わりこそ、音楽教育の望ましい第一歩です。

このことについては、近年の多くの研究が、心理学の方面や、音楽教育の方面からなされています。

 

いわゆる「歌」の形になっていないあやし言葉でも、乳児にとっては立派な歌です。

わらべうたの節まわしに慣れておくと、自分の言葉を使って歌うこともできるようになります。

家庭で、大好きな人たちと一緒に歌うことは、本当に素晴らしいことです。

そこで培われた人格は、安定感のある円満なものへと発達するでしょう。

そしてこれこそ、音楽教育の大切な基礎でもあり第一歩になるのです。

 

>>【わらべうた】の効果とは?子どもを育てるわらべうたあそび

 

遊びの中から生まれたわらべうた「社会性・認識力・運動機能の特徴」

 

仲間とわらべうたで遊ぶことを通して、子どもが学べることはたくさんあります。

具体的に例を挙げてみましょう。

〇遊びのルールや順序を守ること。

ルールや順序を守らなければ、一緒に楽しく遊ぶことはできませんし、仲間からも指摘されたり、直されたりします。

〇協力すること

みんなで一緒にするから、一層楽しいということに気づきます。

一緒にいる間には、知らぬ間に助け合い、協力し合っているのです。

 

【判断力や敏捷性を養うこと】

わらべうたで遊ぶなかには、素早く判断したり、行動しなければならない場合がたくさんあります。

【語を増やし、発声を明瞭にすること】

繰り返し歌う間に、新しい言葉も覚え、発音のお稽古にもなっています。

幼児語的な発音は、ゆっくり丁寧に繰り返し直すことが大切です。

大人がまねしたり、笑ったりしないよう気をつけましょう。

 

【前後左右などの位置関係や、方向感覚を養うこと】

日常生活では、前後左右に繰り返し動くことはまれです。

右・左の感覚も、体験を通して確立します。

鬼が目をつぶる遊びが多く含まれていますが、聴覚だけに頼るとき、方向感覚はより鋭敏に働きます。

 

【他者やほかの立場への思いやりを持つこと】

わらべうたで遊ぶ時には、よく鬼の役割があります。

「鬼」はいうまでもなく、優位の立場ではありませんし、むしろグループの中で孤立した存在です。

けれども、鬼はいつまでも鬼ではなく、交代して遊ぶものです。

立場の代わったときの感情も、遊びの中で体験することができます。

 

 

音楽に合わせて体を動かすことは、子どもにとってごく自然なことです。

そして、また体を動かすことによって、よりよく音楽を体験・理解できるのです。

大人にとっては何でもない動作、例えば歌に合わせて手をたたく、うたに合わせて歩くなどの簡単な動作でも、子どもにとってはクリアしなければいけない、いくつかの課題と段階があります。

歌に合わせて手をたたいたり歩いたりするためには、まずよく「聴く」ことが必要です。

単に「聞こえる」のとは異なり、意識集中・認識・弁別などの知的作業が、知らず知らずに働いているのです。

認識した音楽を記憶し、それを再現するため、仲間と同じ高さで歌い、同じ速さで動くためにはさらに高い知的・運動的能力が要求されます。

文章にすると、複雑に感じられますが、わらべうたはあそびですから、このような集中・認識・弁別・再現をいわゆる学習の場ではなく、子どものごく日常の場で体験・習得できるのです。

ここでは、学習の場ではありませんから、誰が一番などの評価やそれに伴う緊張や不安・劣等感もありません。

みんなのびのびと、それぞれのレベルで楽しみつつ習得していくのです。

 

このように、わらべうたあそびによる遊びを通して、社会性・認識力・身体運動機能の発達が助けられます。

そして何より素晴らしいのは、大人が作り教えるものではなく、子どもたちから生まれた、子どもたちのものだということです。

仲間との遊びを通して、知らず知らずに多くのことを経験し、学び取っていきます。

>>運動能力がアップ!!歌と動きで感性が豊かに育つ不思議な力

 

スポンサーリンク

 

関連記事

気になる子どもへの対応 効果的なわらべうたあそび

気になる子どもってどんな子ども? 「気になる子ども」と聞くとどのような子どもを思い浮かべますか?

記事を読む

わらべうた遊び 親子でたのしむおすすめわらべうたの本

コダーイの音楽教育から学ぶ「わらべうた」 子どものころは、かごめかごめ、あぶくたった、などごく限ら

記事を読む

季節の歌ーくもはあっぱい

くもはあっぱい 季節の歌(秋)高知県 歌詞 くもは あっぱい べべきー て ちゃぶくろ

記事を読む

季節の歌ーなんまいだんぼ

なんまいだんぼ 季節の歌(冬)栃木県 歌詞 な んまい だん ぼ かーら の だん ご

記事を読む

季節の歌ーあわんとりゃほー

あわんとりゃホー 季節の歌(冬)大分県 歌詞 あわんとりゃ ホー ひえんとりゃ ホー

記事を読む

no image

触れ遊び

触れ遊び 【乳幼児向け】 🔶いちのめ 🔶べんけいが

記事を読む

季節の歌ーあぶくたった

あぶくたった 季節の歌(冬)福井県 歌詞 あぶく たった にえたった にえたか どう 

記事を読む

なわとび遊び歌-いちわのからすが

いちわのからすが(縄跳び) 宮城県 歌詞 いちわのからすが かあか にわのにわとり こけこ

記事を読む

季節の歌ーからすからす

からすからす 季節の歌(秋)栃木県 歌詞 か らす か らす かん ざぶ ろう &nb

記事を読む

季節の歌ーほたるこい

ほたるこい 季節の歌(夏)長野県 歌詞 ほーたる こーい ちちやるに やまぶし こーい

記事を読む

 

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

 
   
  • カテゴリー

  •   RUN

    神奈川県在住の主婦&保育士。ガーデニング、おやつ作り、キャンプ、読書が趣味。
    現在3人の子どもとシュタイナー教育実践中。趣味のこと、育児について発信しています。

    詳しいプロフィール 

 
 
     
PAGE TOP ↑