ドルトンプランの特徴と教育方法

世界の教育

ドルトンプラン教育とは

ドルトン・プラン(ダルトンプラン)とは、アメリカ合衆国の教育者であるヘレン・パーカーストが提唱した教育法です。

ヘレン・パーカーストが教師としての最初の赴任校で、1人で40人の生徒を指導する体験をしたことがきっかけとなり、その後学んだマリア・モンテッソーリの自発性、自主性を重んじる着想(モンテッソーリ教育)やジョン・デューイの問題解決学習などの長所を取り入れて練られたものです。

クラスの人数が多くとも児童一人一人の能力を伸ばす目的で考案されました。

 

ドルトンプラン教育の特徴

中心になるのは『自由』『協同』という二つの考えに基づき、3つの柱から成り立っています。

自由の原理

自主性と創造性を育むことを目的としており、学びへの自由があります。

生徒一人ひとりの興味を出発点としており、各生徒のペースに合わせ必要な時間を十分に与えることで、集中して物事に取り組み、意欲や態度、さらに持続力などを養います。

子どもは自分のペースに合わせて、学習問題に取り組み自習します。

協同の原理

社会の一員として、さまざまな人々との交流に重点をおくとともに、集団の中の一人の人間として行動することを目的としています。

そのため、他クラスや他学年などさまざまな集団とも積極的に交流し、多様な価値観に触れ、社会性や協調性を身につけます。

3つの柱

ハウス<HOUSE>

学年を越えた生徒で構成される、学校生活のベースとなるグループのことで、ホームルームのクラスは「ハウス」と呼ばれています。

担任は「ハウスアドバイザー」といい、子どもひとりひとりの学習状況をサポートします。

 

アサイメント<ASSIGNMENT>

「アサイメント」とは、生徒と先生との間で交わされる契約(約束)です。

それぞれの年齢に応じた課題が与えられ、子どもたちは期限までに約束を守る責任を担います。

教科またはテーマに基づく探究を深めるための課題が与えられます。

同時に時間の有効な使い方や、何をいつまでにどの程度進めなければならないかという計画性も学びます。

子どもはアサインメントを参照し、自分に何が求められているか把握しつつ学習を進めます。

 

ラボラトリー<LABORATORY>

ラボラトリーとは研究室(実験室)のことで、子どもと教員が1対1、または少人数グループで学びを探求する時間のことです。

低年齢のクラスでは、ハウスアドバイザー中心に授業を進めますが、学年が上がるにしたがって専門の先生との関わりが増えます。

最終的には、各個人の興味に応じたテーマについて専門的に研究していくまさに「実験室」にふさわしい学習に発展します。

生徒が自分の目標に向かって学び続ける姿勢を身につけます。

 

教育の段階

ドルトンプラン教育は3つのステージに分けて教育します。

🔶幼稚園(3~5歳)~ 小学校3年生 :ファースト・プログラム

🔶4〜8学年(日本の小学校4年生〜中学2年生):ミドル・スクール

🔶9〜12学年(日本の中学3年生〜高校3年生):ハイ・スクール

 

ドルトンプラン教育の授業の様子

ドルトンプラン教育の学校では、それぞれの子どもたちが別々に異なる課題をとても静かにこなしています。

教室のなかには、先生と子どもの間のいろいろな約束事を決めるさまざまな装置が置いてあります。

たとえば、先生の机のそばにある信号機のようなランプ。

ランプが緑のときは、てをあげて先生に質問をしたり、発言したりしてよいとき、黄色のときは先生の説明に耳を傾けるとき、赤のときは黙って自分の勉強に集中するとき、というようにその教室での約束事が決められています。

教室の入り口近くの壁には、独自の時間割表が掛けられています。

各授業時間に各教科のグループに分かれて、教室の中に設けられたそれぞれの学習コーナーに行って勉強するので、子どもたちはこの時間割表を使って、自分がどの時間にどの教科のグループに入るかを決め、磁石のついた名札を自分で選んだ時間の科目に貼りつけていく、という仕組みです。

生徒の進度に従って、先生が一人ひとりの子どもに合わせて各教科の課題を出します。

各生徒は、一週間分の学習計画の一覧表をもっています。

これは、先生と各子どもの間の1対1の約束事で、子どもは決められた時までに決められた課題をこなす、という約束遂行が期待されます。

課題は一日の課題、週の課題、月の課題などがあります。

教師は子どもの発達を観察し、課題が難しすぎたり優しすぎたりしないよう考え、適切な指導を与える重要な役割があります。

 

教室にはほかにも学校生活での子どもの役割(読書コーナーの本を整理したり、工作コーナーの掃除等)を毎日交代で行うための表も掛けられています。

教室の中の仕事分担においても、自主的に仕事を引き受け、それを果たすという責任が期待されています。

このようにドルトンプラン教育では先生と子どもの契約的な関係、子ども同士の約束を大変重視し、それを個別の学習指導の基礎にすえています。

 

日本でのドルトンプラン教育

日本では1922年に『大正自由教育運動』の末期に成城小学校に導入されました。

しかし昭和に入り、ドルトン・プランは教師の手抜きであり、生徒の学力低下を招き進学に不利である等の批判からドルトン・プランは日本の教育の表舞台から姿を消しました。

そんな時代を経て現代日本では、河合塾グループがドルトンスクールを実施、1歳から小学生までのスクールがあります。

また、開校128年の伝統を誇る東京学園高等学校が一大教育改革として新たに中学校を開設し、共学の中高一貫校としてドルトン東京学園中等部・高等部が新設されました。日本ではじめて中高一貫校の ドルトン東京学園は2019年4月に開校します。

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