シュタイナーの人形劇
シュタイナー幼稚園の親子クラスに行っていた時に、初めてシュタイナーの人形劇というものを見ました。
とても静かな人形劇で、舞台はすべて布や羊毛など自然のもので作られていて、人形も立ち人形といって手足のないもの。とてもシンプルなもので、先生が物語を語りながらゆっくりと人形を動かしているのが印象的でした。
なので、自分の見てきた人形劇とのギャップがかなりありました。
そんな人形劇を実際自分がやってみることになりました
\(^_^)/
そもそもなぜそういうことになったのかといえば・・・・
学園のオープンディで人形劇をやる人を募集していたのがきっかけ。
実際にやれる機会なんてそうそうないと思うので、今回は体験できてよかったなぁと思いました。
知らなかった!本当は怖い赤ずきんの結末
行う演目は「赤ずきん」でした。
いろいろお話を持ち寄って選びました。
ウォルター・クレイン画
人形劇をスタートさせるにあたって、まずは台本作りから始めました。
「赤ずきん」は大きくグリム童話とペロー童話と2つの話がありました。
赤ずきんはもともとスウェーデンの民話でしたが、16世紀ペローが民話から作品へと書き換えました。
民話では、赤ずきんがだまされておばあさんの血と肉を、ワインと干し肉として食べてしまうシーンがあったとかΣ(゚Д゚)。
ペローの作品では、赤ずきんがワインと干し肉を食べるシーンは削除されていますが、赤ずきんはオオカミに食べられたところでお話は終わっており、猟師は登場してきません。
これだけ読むと、民話って結構怖い部分があるなぁとびっくりしてしまいました(@_@;)
そして、18世紀初めにルートヴィヒ・ティークにより赤ずきんに猟師が登場するようになります。
赤ずきんを食べたオオカミは猟師に撃ち殺されますが、この話でも赤ずきんは食べられたきり救出はされませんでした。
さらに18世紀にグリム兄弟が赤ずきんの内容に手を加え、赤ずきんとおばあさんがオオカミのお腹から生きたまま救出されるというエピソードが加わりました。
私たちの世代では、グリム童話の方が一般的に知られているような気がします。
そして、両作品を読んで、子どもにはグリム童話のほうが受け入れやすいのでは・・・・ということで今回はグリムのお話で劇を進めることになりました。
メルヒェンの世界
人形劇をやるにあたって、次に進めていったのが「赤ずきん」の時代背景。
いつ頃の話なのか、どんな森におばあさんは住んでいたのか、などなど物語に入っていくためにはそういった背景も考えながら行いました。
そのなかでもおもしろかったのはメルヒェン論でした。
シュタイナーはメルヒェンを大事にしていて、メルヒェンが子どもに与える影響の大きさを強く言っています。
子どもにふさわしいとされるお話も年齢を考えてされるそうです。
童話だったらなんでもいいわけではないんですね。
シュタイナー幼稚園では年長さんがみる劇として「いばら姫」が多いようです。
なんでも、いばら姫の寝ている場所が天に近い高い塔の上であり、魔法の力が出てきたり、王子様が助けに来てくれるなど、内容が天上に近い子どもたちの精神と近いものがあるからとか。
シュタイナーは、人間は生物学的存在であり、また精神的存在でもあると考えました。
私たちは物質的なからだをもって、地上という「見える世界」に属し、もう一方で自我を通して表れる精神性をもって、天上という「見えない世界」に属しているということです。
シュタイナーは子どもたちの精神は天上から少しずつ地上に降りてくると言っています。
0歳では意識は遠く、まだ天にいるような状態。
人は7年のリズムで成長し、自我の確立は21歳ごろとされています。
赤ずきんは地上に降り立った状態であり、オオカミの誘惑、猟師という意識をはっきりさせる人物の登場、はさみという現実的なものによって助け出されます。
なので、赤ずきんは幼児にはまだ聞かせるには早いお話ということがわかりました。
こういった観点から物語を読むと、子どもの心にどう響くのか考えさせられ、おもしろいなぁと感じました。
世界観をつくる
さて、いよいよ人形劇を始める!となったときに必要なのが音楽でした。
演奏はグロッケンとライアーと呼ばれるハープのような楽器。
劇が始まる前の音楽や場面転換の音出しなど、どのタイミングでどんな音を出すか、など台本を読みながら進めていきました。
語り
シュタイナーの人形劇はとにかく語りがゆっくり。
そして、淡々と読む・・・。
という印象がやはり強かったですね。
そう読むことで、子どもたちの内面的な感情を引き出すのだと思いました。
人形
ちょっとしたことなのですが、人形でおもしろいなぁと思ったのが人形の髪形や衣装の色。
おばあさんの服の色は渋めの紫、とか、お団子頭もお団子の位置が高いと若く見えて、低いと落ち着いた感じに見えるということ。
確かに、色のイメージやちょっとした髪形で見た目や雰囲気って変わるものですよね。
実際自分たちもそうなので、人形も一緒なんだと思いました。( ´∀` )
シュタイナーの人形は顔が書いていないので、そういった人形の出す雰囲気も大事なのだと感じました。
人形の動かし方は意外と難しかったですね・・・。
あまり手が見えすぎてはいけないし、人が歩くときは飛び跳ねたりしないので、ゆっくり進ませる。
いきなり横移動や後ろ歩きもしないので、移動する方向をきちんと見てから人形を動かすなどなど、結構集中力が必要なのだと感じました。
セリフの前に人形を動かして、しゃべっているように見せるので、台本も自然と覚えました。
劇事態初めてだったので、演劇っておもしろいなぁ~~~とここでも楽しみを見つけました( ´∀` )
オオカミは人形作りからかなり大変そうでした。
動物の人形を作るときは、実際にオオカミの表情や骨格などスケッチしてみてから創作に入ると、よりオオカミらしさが出てくるそうです。
なんとなーくのイメージでは本当にイメージしたものしかできないのだとか。
きちんとイメージすることって大切なんですねぇ。
舞台
舞台設定も、先生に直々にご指導いただきメリハリのある舞台を作りました。
本物の木を立てて立体感をだしたり、奥行きを出すことで、観客も世界に入りやすくなりますよね。
家も赤ずきんの家よりもおばあさんの家の方が話の中心になるから・・・と場所を広くとったら、「なんかおばあさんの家ゴージャス!!(笑)」みたいな感じになったりで、家と森の大きさのバランスなども見ながら作業をしました。
いよいよ本番
本番当日は、たくさんのお客さんに来ていただきました。
子どもたちもすごく真剣に、そして静かにみてくれてとてもよかったです。
語りがはじまったときは語りの方を、音が聞こえると音の鳴るほうを見る子どもたちを見て、素直だなぁとほほえましく思いました^^
はじめての人形劇体験はとても貴重なもので、いろんな発見があってとても楽しかったです。
自分のやってきた人形劇だと、やたらと人形を動かしてしまったり、オーバーアクションだったりして、なんとか子どもの目を引き付けたい!!という思いがありましたが、実際は子どもが物語に引き込まれるように演じることが大切なのだと知りました。
子どもの心に響かせるには、大きな音や声が必要なのではなく、大人の気持ちをどこに向けるかで変わるものなのだと思いました。
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