教師の教え込みへの批判から生まれた教育があるのを知っていますか?
フレネ教育はフランスの小学校教師が考えた「子どもが主体の教育」です。
フレネ教育の根本は「子ども主体」。
子ども主体の子どもの社会とはいったいどういったものなのでしょうか?
日本でフレネ教育を実践しているけやの森学園をご紹介します。
フレネ教育~けやの森学園~
フランスのフレネ学校と交流を続け、日本でフレネ教育を実践している埼玉県狭山市・けやの森学園。
フレネ教育にヒントを得たけやの森学園ではどんな保育が行われているのでしょうか。
ここでは園長の佐藤朝代さんのお話をご紹介します。
縦割りクラスで人間関係を学ぶ
けやの森学園のクラス分けは3歳、4歳、5歳の子どもが同じクラスになる「縦割りクラス」が基本です。
「縦割りクラスにすると、めんどうなことや無駄だなと思えることが増えます。」そう話す佐藤さん。
何かやろうとしても、ちいさな子が「できないーー!」と言ってきたり、「どうやるの?」と時間がかかったり。
確かに全体の能率は落ちてしまいます。でも、いろいろな人と関わり、めんどうだなと思うことの中に、人間学を学ぶ、とっておきのチャンスがあります。
大人の社会も、お年寄りや若い人、赤ちゃんや病気のひとなど、いろんなひとがいて成り立っています。
そこを縦割り保育で学んでいきます。
年長児×年少児でペアを組む
もう一つ、人間関係を育てるけやの森学園の特長があります。
それは、年長児と新入園児がペアになって生活していく「ペアさん」という関係。
4月は先生がペアを決めます。
でも2学期はちいさい子がペアさんを選ぶ。
そうすると、たくさんの子どもにペアを申し込まれる子どもと、だれにも申し込まれない子どもが出てきます。
誰も来なかった子はなぜ来なかったのか。
どうしたらいいか、納得いくまでみんなで話し合って考えます。
年少の子どもが、「じゃあ、ぼくがペアになってあげるよ」ということもあります。
子どもの場合も『社会』が人を育てるんですね。
集会とクラスの会で意見を認め合う
けやの森学園で欠かせないことのひとつに「集会」があります。
定期的に開かれるのではなく、何か問題や話し合う必要が生まれたときに、子どもと先生が集まって丸くなって座り、相談や話し合いをするのだとか。
自分で意見を言い、他人から意見をもらう。
ちいさい子も、ペアさんの助けを借りて司会をするそうです。
こうした集会や日ごろのクラスの会によって、子どもたちはお互いに認め合い、社会をつくっていきます。
さらに主体的に生活と関わっているという実感を深めています。
クラスの名前も子どもたちが決める
けやの森学園では、毎年クラスの名前を子どもたちが決めています。
テーマに沿ってクラスごとに話し合い、全員でクラスの名前を決定。
新しいクラスになって一番最初の活動でもあります。
みんなで一生懸命考えたクラスの名前に愛着がわかないわけありません。
保護者の方も「今年はなに組かな」と楽しみにしているのだそうです。
仕事選びへの第一歩!当番というお仕事
フレネ教育の特徴のひとつに「イニシアチブ」という考え方があります。
掃除や片付けといった仕事を自分から進んでやって、報告するというもの。
この自分から仕事をするという考え方もけやの森学園に生きています。
図書整理、花の栽培、あそびの後の見回りパトロール、給食当番、林あそびの道具の管理、畑当番という6つの仕事があります。
その中から、自分でやる仕事を自分で決めて、年間を通してやり通します。
自分で選んだ仕事を、自分の目で発見したり、失敗したりしながらやり遂げることは、何にも替えがたい体験。
子どもたちは自分の仕事に責任をもっていて、卒園する頃になると、当番の仕事を、年中、年少に引き継いでいきます。
体験⇒感動⇒表現のプロセスがある
毎年、年長児は富士登山をします。
そこで子どもたちはすごい体験をします。
あるおかあさんが話してくださったのですが、
子どもが家へ帰ってきて、『お母さん、色えんぴつと紙ちょうだい!』と言って7枚分の絵を一言も話さないで一気に描き上げ、『これが富士山!』と手渡してくれたというのです。
そこには、刻々と変わる富士山のご来光のようすが描かれていたそうです。
『すごい!』
『美しい!』
という感動をお母さんに伝えられずにはいられない。
そうした、えもいわれぬ気分になったとき、子どもはとにかく伝えられる手段をつかって表現したくなるのです。
それが絵の子もいれば、おしゃべりで表現する子も文字の子もいます。
表現したい気分になったとき、大人はやりたいということが存分にできるように準備しておいてあげることです。
日々の生活を発表
朝の会、帰りの会、集会のほかに、自分を表現する場として、生活作品展、ひなまつり会があります。
何を発表するかは、子どもたちが日々の生活の中から決めます。
たとえば、生活作品展。
普段からごっこ遊びで盛り上がっていたクラスは、みんなでひとつの劇に発展させました。
経験のある年長さんが「お客さんにお尻を向けちゃダメだよ」「大きな声でゆっくりしゃべるんだよ」と年少児にアドバイスします。
3学期の終わりのひなまつり会は、これまでの日々のまとめの発表会。
ある子どもは、日々やってきた当番活動についてまとめました。
OHPフィルムに「おはなとうばん」のようすをていねいに描き、発表。
また、友だちと一輪車の演技を発表したり、パントマイムをする子どもの姿も。
発表を見ている年中や年少の子どもたちは見事に発表する年長さんに憧れを抱き、「来援は自分もこんなことがしたい!」と、こころを熱くするのです。
フレネ幼稚園、学校の紹介
日本ではあまり知られていないフレネ教育ですが、実践している学校もいくつかあります。
箕面こどもの森学園
箕面こどもの森学園は個別学習、共同学習、自由学習の3つを取り入れ子どもが主体となった自発的な学習を応援するフレネ教育の学校です。
6~12歳までが通う学校で低学年クラスと高学年クラスの2つに分かれています。
子どもたちが自主的に行うのは学習だけではなく体育祭や夏祭り、フリーマーケットなどの行事も自分たちで作り上げていきます。
ジャパンフレネ
6~18歳を受け入れているフレネ教育の学校です。
平日10~17時まで開校しており日本語と基礎数学以外の授業時間は、自分の学習プランに合わせて学習を進めます。
学習プランだけではなく学校で何をするかということはすべて自分の責任において自分で決め、必要な時には学校全体で話し合いの場が設けられます。
教室内だけではなく近隣の公園や図書館、体育館などを活用し課外学習もたくさん行っています。
参照:クーヨンより
まとめ
日本で「フレネ教育」を実践している「けやの森学園」のお話はいかがでしたか?
けやの森学園では子どもの社会というものが、はっきりわかる仕組みになっていました。
人との関わり方や仕事をするということ。
大人は環境を整えてあげるだけで、子どもは子どもの社会で育つということがわかりました。
何から何を学ぶのか?現代の学校教育のあり方を考えさせられるフレネの教育観でした。
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