フレーベル教育の恩物 その目的とは?恩物のねらいと遊び方

フレーベル教育

ドイツの教育学者フレードリヒ・フレーベルというと、幼稚園の創設者として有名です。

そして、フレーベル幼稚園で使う教材に「恩物」というおもちゃがあります。

これは、フレーベルが考案した子どものおもちゃであり、Spiel Gabeは「神様の贈り物」を意味し、日本では「恩物」(おんぶ)と訳されています。

恩物は、第一恩物から、第二十恩物まであります。

第一恩物から第十恩物までは分解恩物として、幼児期に使われ、第十一恩物から第二十恩物までは総合恩物として児童期に学んでいきます。

そして、20種類あるうちの第1~6恩物までは保育者と一緒に使うものとされており、子どもたちは見本を見てその真似をして遊びます。

遊びを覚えた子どもは、さらに自由に使える積み木で遊んでいきます。

恩物の種類とねらい

フレーベルが考えた形の理想は「球」。

球体から始まり、円柱、立方体などの立体、それらを構成する面、直線、曲線、点へと形を分解しながら、子どもの発達に合わせ、より細かな表現が展開できるよう考慮されています。

形、寸法にも深い意味があり、フレーベル考案による世界初の教具です。

基準となる寸法(基尺)が3cmに統一されているので、第1~第10までの各恩物を組み合わせてあそぶと、さらにたのしい発見が広がります。

・第一恩物(六球) ・第六恩物(積み木)
・第二恩物(三体) ・第七恩物(色板)
・第三恩物(積み木)・第八恩物(棒)
・第四恩物(積み木)・第九恩物(環)
・第五恩物(積み木)・第十恩物(粒)

 

では、実際どのように遊び、子どものとってどのような刺激を与えるのでしょうか?

ここでは第一恩物から第十恩物までの恩物と遊び方をご紹介します。

 

 

 出典: フレーベル館 つばめのおうち

第一恩物のねらい

形体の基本として、精神的には理想の象徴として「球」の形を取り上げています。

丸いものは包み込まれている安心感、角がなく柔らかい印象があります。

そして、球には動き が伴います。

初めて出合う遊具として、「動き」によって子どもの興味を誘発してくれることをねらいとしています。

また、手のひらで丸めたり、握ったり、転がしたり、曲面しか持たない球の性格を十分に知らせることのできる遊具です。

そして、子どもの最初の出合いの遊具として、生まれたばかりの乳児から与えることのできる遊具として用意されたものです。

そのため、第一恩物はやわらかい材料でつくられています。

 

【遊び方】

やっと目が見えるようになった乳児は、ベッドにつるされた第一恩物にはじめて出合い、ジーッとみつめます。

手で押してゆっくり揺らしてやると、反応を示して喜ぶことでしょう。

やがて手をのばすようになり、自分でつかむようになります。

年齢が進んで2~4歳になると、手につるして、模倣遊びをしたり、上下、左右など、自分を中心に位置の関係を知らせる遊びをします。

さらに年齢が進むと、4~6歳ではゲームなどに応用し、色の認識、数の遊びに発展させていくことができます。

第二恩物のねらい

 

第二恩物は「球」「円柱」「立方体」の三体を選び二者識別をテーマにしています。

まず、「球」を十分に認識させ、比較しながら、「円柱」「立方体」へと紹介します。

そして、それぞれの形体のもつ性格を知り、新しい要素を発見させながら、基本形態を認識させます。

「立方体」は、すべて平らな面であり、まっすぐな縁をもち、角があります。

「円柱」は、「球」に似た曲面と平らな面を持ちますが、新しく縁があります。

「立方体」は、「球」や「円柱」のように転がらないし、動かないことに気がつきます。

「球」は、完全な形として明確に理解するようにします。
また、材質などの比較も含めて、第一恩物との相違点を手で触れさせながら認識させていきます。

「立方体」をつるして回転させると、形が変形して、中に「円柱」が見えるときがあることに気がつきます。

 

 

第三恩物のねらいと遊び方

第三恩物~第六恩物は、 第二恩物で経験した立方体を取り出し、さまざまな形の変化を知ります。

第三恩物は、立方体がテーマです。

第二恩物で経験をした立方体を取り出し、すべての面をニ等分して、8個の立方体を得ました。

立方体を分解することの導入でもあり、分解と統合、部分と全体の関係を知らせます。

そのため、与え方は、8個の立方体があるのではなく、1個の立方体が分解されて8個になることを教えます。

また、1つの立方体が前後・左右・上下に分解できることも紹介します。

【遊び方】

1つを取り出すと、全体の形が変化します。

そして、たった1つ足りなくても全体はもとの形にもどらないことを知ります。

小立方体は、全体は小さくとも、もとの立方体と同じ形ということ。そして、他の小立方体は、みんな同じ形で、同じ大きさであることを教えます。

 

第四恩物のねらい

第四恩物は直方体がテーマです。

第二恩物で経験した立方体を取り出して、二等分と四等分することによって、8個の直方体を得ました。
第三恩物とは別な分解のしかたで直方体という新しい形が生まれることを知らせます。

直方体の登場は、面の大きさ、縁の長さなどを通して、大きい、小さい、長い、短いというような比較をすることが主題となります。

そのことは同時に、空間を知り、構成ということを教えています。

そして、1個1個が他のものとみんな同じ形で、同じ大きさであることを知らせます。

【遊び方】
面の大・中・小の違いを知ることで、縁の長さを比べて遊びます。
積み上げたり、横に並べたりして遊びます。

並べ方、積み方で、長く、高く、短く、低くなったりすることを知ります。

 

第五恩物のねらい

第五恩物は、第三恩物を発展させたもので三角柱が登場することによって創作の自由ということが中心となります。

三角柱の登場は、五面体という新しい形と奇数を知らせることになります。

また三層ということが、39個という奇数個をつくり、はじめて奇数を数えることになります。

 

【遊び方】

立方体と、大三角柱と、小三角柱の比較をします。

半分、また半分、2つで同じ大きさ、2つで同じ形になる。

また、面と面を合わせて面の大きさも、比較させます。

 

第六恩物のねらい

第六恩物は、第四恩物を発展させたもので、柱と受けを加えて実際にちかい理想的な建築ということをテーマにしています。

全部で36個の積木が用意されていますが、直方体18個、柱6個、受け12個とすべて3の倍数となる数が用意されています。

 

第七恩物のねらい

第七恩物は、面を表す色板です。

形は正方形と四種類の三角形、円、半円の7種類

色はそれぞれ表と裏に施され、第一恩物の色と同じ、赤・黄・青・緑・紫・橙の6 色と、白と黒の8色になっています。

図案や、色の組み合わせによって、美的観念の高揚と調和を目的とした内容です。

 

【遊び方】

それぞれの形と辺を合わせて、長い、短い、どれが同じ、または、どれとどれで同じということを認識させます。

模様遊び、順列遊び(色の順列・形の順列)、集合遊び(色の集合・形の集合) をします。

 

 

第八恩物のねらい

第八恩物は、直線を表す棒です。

棒は3cmの倍数で、5種類用意されています。

 

【遊び方】

数遊びや図案遊びや長さの違いを生かした発展模様の遊びをします。

線は、物体の輪郭を把握し、印象を具体化して、自己のものとして表現する訓練となります。

また、数遊びやどれがいくつでどれと同じ長さになるのかなど、他の恩物と比べて遊びます。

 

 

第九恩物のねらい

第九恩物は、曲線を表すです。

大、中、小の3種類の環と、それぞれの半輪3種です。

物体の輪郭を把握し、印象を具体化して、自己のものとして表現する訓練となります。

 

【遊び方】

図案遊びや発展模様の遊びをします。

大、中、小の比較したり、他の恩物と比べてあそびます。

大きさの違いを利用して、図案遊びをします。

 

 

第十恩物のねらい

第十恩物は、点を表す粒です。

粒によって位置の存在を知らせることと、集合して線をつくり、面をつくることを認識させます。

 

【遊び方】

位置は2点で線が生まれることを知らせます。

はじめの1点を好きなように選び、次の1点をまた好きなところに示します。

そして、その間を多くの点でうめると直線になることを知らせます。

 

同じようにして、点は3点以上で、面をつくることを知らせます。

集合した点の移動で、形が変化することを知らせます。

 

 

 

 

冒頭でも紹介した通り、これらの恩物は保育者と一緒に使うものとされており、恩物だけを子どもに与えるようなことはしないようにしてください

おもちゃを買ったはいいけれど、子どもが全然遊ばなかった・・・・というのは私自身も経験したことのある苦い思い出です・・・(´;ω;`)

これらの恩物は値段も高く、購入するときは考えてしまいます。

それでも、子どもとやってみたい!!と思っているようであれば、 「保育者と一緒に行うことで発揮される玩具」 という認識の元、使ってみるといいでしょう。

フレーベルが開発した幼児のための教具「恩物」はとても有名ですが、その恩物をベースに考えられたおもちゃはいまも子どものあそび道具として、親しまれています。

 

ここからは、恩物のほかにも子どもの好きなおもちゃをご紹介します。

フレーベルの積み木

フレーベル積木(小)|デュシマ社(ドイツ)

一般的に使われている積木はフレーベルの恩物を基にして作られています。

積木は単純なつくりですが、子どもの想像力を引き出し、小さな子どもでも簡単に扱うことができます。

積み立ててくときは集中力を使い、指先までコントロールする力が必要になります。

我が家の子どもたちも積木遊びは大好きで、積み立てては壊す・・・を繰り返しやって遊んでいました。

年齢が上がってくると、積み木で家を作ってみたり、積木を電話に見立てるなど様々な使われ方をするようになりました。

ドイツの幼稚園でも広く利用されているフレーベルの理念に基づいた積み木です。

子どもの手の中に収まる大きさですが、しっかりしたブナ材のため、重量感があり、積みやすいです。

 

 

モザイクブロック

モザイク (大)

木目を感じられる、やさしい色合いの三角形とひし形のパターンブロックです。

並べ合わせるだけで思いがけない絵や模様が無限大に生まれます。

 

色がとてもきれいなので、子どもが手を伸ばしたくなります。

わが家の子どもたちは、枠の中だけでなく、机の上で様々なかたちを作って遊んでいます。

さまざまなパターンで色と形の世界が広がるようです。

>>フレーベルをもっと知りたい人おすすめ本9選

 

 

まとめ

いかがでしたか?

フレーベルの考えた恩物は、世界のものごとを凝縮した形となって表れ、「玩具の中に世界が詰まっている!」とおもわせるようなものでしたね。

これらのものごとに触れることで、子どもの感性が育っていくのかなぁと思いました。

 

ここで紹介した恩物もそれぞれに「ねらい」」はありますが、「ねらい」ばかりを考えてしまっては、もったいない!

大人も一緒に恩物を組み合わせて、楽しい発見を見つけるのもいいかもしれませんね。

 

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