「0歳の時から赤ちゃんに絵本を読んであげましょう」と言われたら・・・「まだ早い!」と思われますか?
生まれたばかりの赤ちゃんは、目に見えるもの、肌で感じるもの、耳に聞こえてくるもの、全身を使って世界を感じとっています。絵本を読んであげるということは、お母さんやお父さんの声を赤ちゃんに聞かせてあげるということ。ラジオやテレビから流れてくる声よりも、生の声が赤ちゃんには心地よいものです。
赤ちゃんはまだわからないのでは?と思わなくても大丈夫。赤ちゃんに、安心できる空間づくりの一つとしてぜひ絵本を読んであげてみてください。
では、どんな絵本を読んであげたらよいのでしょうか?ここでは、赤ちゃん向けの絵本をご紹介します。
0歳向け絵本の選びかた
見て聴いて、五感の働きで吸い取り紙のように吸収し、反応し、真似ている赤ちゃんに絵本を選んで、読んであげることは私たち大人がすぐにできる環境設備です。子どもが最初に出会う絵本は、いちばん大切な本です。赤ちゃんは、絵本を読んでもらうことで、お母さんや身近な人の声を聞くことができます。
子守り歌などがあまり歌われなくなり赤ちゃんの絵本の必要性が感じられるようになったころに赤ちゃん絵本月刊「こどものとも0.1.2.」(福音館書店)がスタートしました。この時期に出会える本は限られています。赤ちゃんが楽しみ、生涯にわたって影響のある、いい絵本を選びましょう。
赤ちゃんにとって良い本とは??
では、赤ちゃん絵本は何を基準に選んでいったらいいでしょうか?また、赤ちゃんにとって絵本とはどのようなものなのでしょうか??
見たり触ったりなめたりしながら様々なものに出会っていく赤ちゃんにとって、絵本は読んでもらえなかったら、他のおもちゃと同じような存在にすぎません。幼児用も含めて絵本は。読んでもらい、身近な人にかかわってもらうことを前提として作られています。電子メディアと違って、手を使ってページをめくり、絵を介して読み手と言葉を共有するものです。
自らページをめくり、好きな絵やことばに出会って一緒に遊んでもらえることが楽しい時期には、本を静かに聞く以前の好奇心や五感の働きを大切にしたいものです。
1:耳にすることば「声」が心地よい
読んでもらったときに、リズミカルな音やことば、くし返しの心地よさがある
色と形がすっきりして、美しい絵本です。例えば、赤い五角形。「だれか かくれていると でてこい でてこい」と読んでぺーじをめくると、五角形の中から、ウサギが「ぴょーん ぴょーん」と飛び出してきます。シャープな形から、柔らかな曲線をもつ生き物が、次々と抜け出す面白さ。言葉のくりかえしや、リズミカルな音で、意味以前の言葉の心地よさを赤ちゃんは楽しむことができます。
わくわくしながらめくる楽しさと、出てくるときの音の楽しさが重なって、小さな子供にとても刺激的です。
2:絵と言葉が調和している 絵が語りかけている。絵とことばがたがいに調和していて、内容を高め合っている
絵から音が聞こえてくるようです。折れ曲がった棒と楕円のたま「がちゃがちゃ どんどん」にぴったりです。
ほかのページを開くと、とたんにいろいろな音が飛び出してきます。
子どもたちは「がちゃがちゃ」で肘をつきだし、体を横に振り、「どんどん」で足を踏みしめます。また、「ぐにゃぐにゃ」で体をくねくねし、「ぱんぱん」で手をたたき、最後の「ぷ」で大笑い。
3:絵にあたたかさ、美しさがある絵本の内容にあっているイメージとあたたかみ、いきいきとした自然の美しさがある。
身近な食事の場面が、あたたかい、親しみやすい色や絵で描かれています。スプーンをこぼしてしまったねずみさんのお腹を「きゅっ きゅっ きゅっ」とふいてあげ、次にうさぎさん、くまさんも繰り返して、最後にお母さんが主人公の赤ちゃんの口を「きゅっ きゅっ きゅっ」。くり返してふくことのと楽しさが、日常にもつながっていきます。
4:楽しい体験ができる内容に同化して体験できる。乳幼児が、ことばで五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を働かせて楽しめる。
描かれているのはさくらんぼ、すいか、いちごなどのみずいずしい、おいしそうな絵と「さあ どうぞ」のことばがあって。乳幼児は思わず手を出してたべ、味覚まで働かせている絵本です。最初はまるごとのすいか。次のページではお皿にのっている赤いスイカにフォークが添えられていて、「さぁ どうぞ。」とあります。どのページにもおいしそうな果物にも心づかいが見られて、「さぁ どうぞ。」がくりかえされています。くり返し読むほどに、子どもの感性がはたらき、心からの満足感をあじわうことのできる絵本です。
5:扱いやすく安全赤ちゃんが自分で持ち、ページをめくっても安全な形、素材で内容についても信頼がおける。
ひよこ、ぞう、うさぎ、きりん、そしてかえるが、“こんにちは”“ばいばい”をくり返している本です。14㎝×14㎝と小さいサイズで、赤ちゃんが手にとりやすいです。ちいさい子、特に幼児は“ばいばい”が大好きなんだなぁと実感しました。これはおすすめです。
保育士によるおすすめリスト
いきもの編
- 『いろいろなむし』 得田 之久/さく 福音館書店
- 『てん てん てん』 わからま しずこ/さく
- 『ウどうぶつのおやこ』 薮内 正幸/画
- 『みんな おおあくび』薮内 正幸/さく
- 『みんな おっぱい のんでたよ』 木坂 涼/文 木村 しゅうじ/絵
- 『もう おきるかな』 まつの まさこ/文 やぶうち まさゆき/絵
- 『ぱか ぱか』 ふくち のぶお/さく
たべもの編
- 『あーいいきもち』しまづ かずこ/さく
- 『いちご』 平山 和子/さく
- 『おにぎり』 平山 英三/ぶん 平山 和子/絵
- 『しろくまちゃんのほっとけーき』 わかやま けん/ほか著
- 『たべもの』 中江 俊夫/ぶん 伊藤 秀男/え
- 『まるくて おいしいよ』 こにし えいこ/さく
- 『りんご』松野 正子/ぶん 鎌田 暢子/え
- 『やさい』平山 和子/さく
のりもの編
- 『がたん ごとん がたん ごとん』安西 水丸/さく
- 『しゅっぱつしんこう!』 山本 忠敬/さく
- 『のって のって』くろい けん/さく・え
- 『ぶーぶーじどうしゃ』 山本忠敬/さく
- 『のせてのせて』 松谷 みよ子/ぶん 東光寺 啓/え
あそび編
- 『ぴょーん』まつおか たつひで/作・絵
- 『たてたて よこよこ』いしい じゅね/さく
- 『おとうさん あそぼう』 わたなべ しげお/ぶん おおとも やすお/え
- 『いない いない ばあ』松谷 みよ子/ぶん 瀬川康男/え
- 『こちょ こちょ こちょ』うちだ りんたろう・ながの ひでこ/作
- 『きんぎょがにげた』 五味 太郎/作
- 『おんなじ おんなじ』多田 ヒロシ/著
生活編
- 『おはよう』なかがわ りえこ/さく やまわき ゆりこ/え
- 『いただきまあす』 わたなべ しげお/ぶん おおとも やすお/え
- 『おててがでたよ』林 明子/さく
- 『おふろで ちゃぷちゃぷ』 松谷みよ子/ぶん いわさき ちひろ/え
- 『おやすみなさい コッコさん』片山 健/さく・え
- 『いやだ いやだ』せな けいこ/さく・え
リズム・音・ことば(詩)
- 『もこ もこもこ』たにかわ しゅんたろう/さく もとなが さだまさ/え
- 『くっく くっく』長谷川 摂子/ぶん 小川 忠博/写真 矢口峰子/製靴
- 『うたえほん』つちだ よしはる/え
- 『あがりめ さがりめ』ましま せつこ/え
- 『いちもんめのいすけさん』三輪 映子/絵
- 『ごぶごぶ ごぼごぼ』 駒形 克己/さく
- 『ゆめ にこにこ』柳原 良平/作・絵
ものがたり
- 『あおくんときいろちゃん』レオ・レオーニ/作 藤田 圭雄/訳
- 『あらいぐまとねずみたち』大友 康夫/さく・え
- 『おおきなかぶ』内田莉莎子/再話 佐藤 忠良/画
- 『ぐりとぐら』なかがわ りえこ・おおむら ゆちこ/さく
- 『ぞうくんのさんぽ』なかの ひろたか/さく・え
- 『はらぺこあおむし』エリック・カール
- 『ぶたぶたくんのおかいもの』土方久功/さく・え
- 『てぶくろ ウクライナ民話』エウゲーニー・M・ラチョフ/え うちだ りさこ/やく
まとめ
0歳の赤ちゃんには、無理に絵を見せる必要はありません。赤ちゃんには、お日さまのあたたかさ、緑の美しさ、風の心地よさなどを感じる鋭い感性が働いていて、絵本を読んでいる人の声にも敏感です。絵を見ていなくても、愛情のこもった声、あたたかい声、心地よいリズムのある声を聞き分けています。
刺激の強いきらきらした色使いで、無理に関心を向けさせようとしている絵本もたくさん出ていますが、それらはその場限りで、あとの本へのつながりにも影響を与えてしまいます。
すでに、2,3歳の子どもで、キャラクターのある絵本以外には目を向けなくて困っているという声も耳にします。はじめて出会う絵本選びは大切にしてあげたいですね。
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