世界の幼児教育はどんなものがある?親子で育てる学びの土台

世界の教育

モンテッソーリ、フレーベル、フレネ、シュタイナー、ニキーチン、コダーイ・・・世界には今日までに、子どもの成長・教育について考えてきた人たちがいました。

そして国によっては教育方法もさまざま。

もう100年以上も前の人もいますが、彼女ら・彼らの子どもたちへのまなざしは、現代の子育てにもヒントをくれます。

いまなお学ぶべきことの多い、それぞれの教育の理念について、国、特徴、あそびをまとめてご紹介します。

 

世界の幼児教育の種類

フレーベル教育

創始者:フリードリッヒ・フレーベル Friedrich Hrobel (1782-1852)
国:ドイツ
創立年:1816年頃

特徴:真剣にあそぶことこそが幼児期に必要なことと考え、幼児のための「キンダーガーデン(子どもの庭)」を創設。現在の「幼稚園」の基礎を築く。

現在も幼稚園で取り入れられている歌あそびなどもフレーベルの思想から導入されたものが多い。

 

あそび:こどもの内面の表現を引き出す道具として「恩物」を考案。

積み木や毛糸玉、リングなど、シンプルながらも、子どもが自由に想像力を発揮できるあそび道具として用いられてきた。

今でも「フレーベルの積み木」は日本でも使っている園が多くある。

 

世界中の保育の現場で、基本とされていることのなかには、えっ!フレーベルが言い始めたことなの?ということがたくさんあります。

世界で最初の「幼稚園」を創設したフレーベル。

自然界の不思議に魅了されていたフレーベルは、幼児を人間という大きな樹になるちいさな種子と考えました。

ちいさな種の内側には、樹として育つ、いのちのすべてがあると。

そして、幼児を「人類の欠くべからず大切な一員として認め」尊敬と愛をもって教育をしようと「子どもたちの庭」(キンダーガーデン)をつくりました。

子どもたちが持っている、いのちの花を開かせるには、熟練した園丁のような教師も必要です。

そのために、フレーベルは幼稚園の教員養成にも力を注ぎました。

【フレーベルの子ども観と教育思想】

 

 

モンテッソーリ教育

 

創始者:マリア・モンテッソーリ Maria Montessori (1870-1952)
国:イタリア
創立年:1907年頃
特徴:医師としての経験から、子どもの発達の過程を科学的に観察し、その結果を生かしたメソッド。

個別の発達に沿った日常生活の「お仕事」を通じて、子ども自身が持っている力を発揮する場を設け、「ひとりでできた」経験を積むことが大事だと考える。

 

あそび:子どもの五感を育て、自然に数やことばの感覚を育てる「教具」がある。

園ではつまむ、着る、縫う、貼る、通す、など指先を使うあそび(お仕事)や注ぐ、ねじる、打つなどの手や腕を使ったあそび(お仕事)が見られる。

 

モンテッソーリ教育は、子どもの発達をとことん見つめ、子どもの自主性を信じ、伸ばす育児です。

英才教育であるように思われがちですが、それはモンテッソーリが目指すところではありません。

「子どもって、どうしてこうなの?」という疑問に対するヒントを与えてくれるのが、モンテッソーリ教育です。

マリア・モンテッソーリの生い立ち モンテッソーリ教育の誕生した背景は?

 

 

シュタイナー教育

創始者:ルドルフ・シュタイナー Rudolf Steiner (1861-1925)
国:ドイツ
創立年:1919年頃
特徴:独自哲学である人智学(アントロポゾフィー)に基づき、人間の発達段階を7年周期で考える。

特に幼児期は「からだ」を作ることに専念する時期ととらえ、毎日のくり返しのリズムのなかで、こころとからだが安心して育つと考える。

 

あそび:羊毛、木、布、石、木の実、蜜ろうといった自然素材の素朴なものがあそび道具。

子どもの想像力によってさまざまなものに見立てたりしながらあそびを展開させる。

物語を聞くなどして、ファンタジーの世界を大切にしている。

 

哲学者ルドルフ・シュタイナーは、自ら生み出した哲学「アントロポゾフィー」に基づいて、教育のみならず、医療、農業、建築にわたるさまざまな分野で独自の世界観を展開しました。

人間の成長を7年ごとの周期で考えたシュタイナー。

彼は0~7歳の時期をどのようにとらえ、大人が何をしたらよいと考えていたのでしょう。

家庭ですぐ取り入れられる部分も多いのがシュタイナー教育です。

シュタイナー教育はなぜ芸術?教育法と芸術のつながり

 

 

コダーイの音楽教育

創始者:コダーイ・ゾルターン Kodaly Zoltan (1882-1967)
国:ハンガリー
創立年:1900年代前半
特徴:ハンガリーの音楽教育を系統立てて考える理論を確立。

「音楽は人間教育」でもあると考え、音楽によって子どもたちの力を引き出そうとする。

子どもたちには早いうちから、地域に根づいた良質の音楽に触れる機会を与えることが重要と考え、現在でも世界各地に「コダーイ・メゾット」として受けつがれている。

 

あそび:うたあそび。リズムあそび。音楽はこころの糧になると考え、日本では特にわらべうたの再評価と普及に大きな意味を持つ。

ハンガリーでは系統だった音楽教育が、幼年期から行われています。

 

その理論を確立したのが、作曲家コダーイ・ゾルターン。

音楽教育は人間教育でもある、という考え一貫して、子どもには早いうちからよい音楽を聴かせることの大切さを唱えました。

コダーイが子どもに必要とした「よい音楽」とは各民族に伝わるわらべうたでした。

特別な道具も楽器もいらず、身ひとつで行われるこのむかしながらの遊びを見直してみませんか?

幼児期の音楽教育の効果とは?コダーイシステムに迫る!

 

 

 

フレネ教育

 

フレネ

創始者:セレスタン・フレネ Celestin Freinet (1896-1966)
国:フランス
創立年:1935年頃
特徴: 「子ども主体」の教育をモットーに「レッスン」ではない、子どもの生活の延長にある教育を目指す。

クラスは異年齢で構成され、年上の子が年下の子をサポートしながら生活する。

自由作文や印刷、学校間通信やサークル対話などを通じて、子どもの「表現」の場をつくることに力を入れる。

 

あそび:自然のなかで外遊びをしたり、時には一人で絵を描いたり、木工、釘打ち、編み物などの手仕事をしたり。

作ったものを展示したり、バザーで販売したりしながら、社会とのつながりをもたせる。

 

教育思想家でもなく、教育学者でもなかったセレスタン・フレネ。

彼は生涯、南フランスのちいさな学校の教師でした。

一方的で退屈な授業に興味を示さない子どもたちを前にフレネは、子どもの生活と表現を中心とする教育をはじめます。

 

「子どもが主体の教育とは?」

「子どもが本当にやる気になるには?」

実践によって生まれた具体的なメソッドには、子どもたちがいまを生きるために必要な知恵がありました。

フレネ教育とは?自分の思いを表現

 

 

ニキーチンの幼児教育

 

創始者:ボリス・P・ニキーチン Boris.P.Nikitin (1916-1999)
:レーナ・A・ニキーチン Lena.A.Nikitina (1929-没年不詳)
国:ロシア
創立年:1950年代
特徴:子どもは、生まれる前からさまざまなことができる能力を持つことに気づき、大人の過保護がその能力の妨げになると考える。

真冬に裸で散歩したり、自宅に体操室をつくるなど、子どもが思い切りからだを使うことで力を発揮できるような場を提供した。

 

あそび:体育に注目する一方で、子どもは手や頭を使ってあそぶうちに「観察力」や「注意力」が養われることを発見。

模様づくりなど、何通りものたのしみ方ができる「ニキーチンの積み木」を考案し、世界に広まる。

 

ペレストロイカ以前のソ連、モスクワの郊外に住むニキーチン夫妻は、共働きしながら7人の子どもを保育園にもやらず、健康で聡明に育て上げました。

身体鍛錬や知的あそびの開発にも力を注いだボリス・P・ニキーチン。

大きな愛情で育児に取り組んだレーナ・A・ニキーチン。

子どもには世間が考えるよりずっと多くの力があることを発見し、子どもの輝きを存分に引き出したニキーチン家の子育てです。

天才児を育てる?夫婦で取り組んだユニークな子育て

 

 

まとめ

ひとくちに「教育」といっても、学校で受ける教育、各家庭の文化の下で受ける教育、そして、地域社会でいろいろな人との関りを通して受ける地域での教育、最近ではネットによる直接対面しない相手から受けるICT教育というように多様な教育の姿があります。

人間社会のなかで必ず必要となってくる「教育」。

世界の教育者の考えはさまざまですが、子どもにとって教育というものは人間社会で生きていくために必要なものです。

こういった教育が世界で行われる前は子どもは労働力として見られ、大人たちからはまるで蝋か粘土でもあるかのように、思うまま自由に取り扱われていました。

そういった子どもたちの生きる力を引き出そうとしてくれた多くの教育者たち。

 

現代でも、南アフリカやイスラエルなど、貧困や紛争のただ中にいる子どもたちはとても過酷な環境で児童労働や「こども兵」として戦闘を強制されています。

そして大切な「子ども時代」を子どもらしく過ごす権利を奪われています。

一方で先進国の子どもたちは早いうちからテレビの前に座らされ、直に大人たちの語りかけを聞くのではなく、ゲームやビデオ教材からの刺激にさらされ、「子ども市場」の消費者として、幼いうちから不必要な欲望をかきたてられて育ちます。

そういった意味でははやり「子ども時代」を奪われているといえるでしょう。

多くの親は自分の子どもにはよい教育を得ようと考えます。

一人ひとりの原点である「子ども時代」を守るためにも大人が教育とは何か?

さまざまな教育があるなかで、自分の目指す子育てを見つけることができれば、子どもとの向き合い方もかわるのではないでしょうか。

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