子どもによりよい教育を受けさせたい!という親御さんは多いはず。
でも教育って、知れば知るほど奥が深いんです。
近年、国内外問わず、幼児教育への関心が高まっています。
就学前の幼児教育に対し、家庭単位にとどまらず、国家単位で公共投資を行う重要性まで指摘されるようになってきたのには、どのような背景があるのでしょうか。
教育に求められるもの、世界の教育についてまとめてみました。
世界の幼児教育に対しての関心が高まっている背景とは?
幼児教育に求める「3つの力」の育成
経済協力開発機構(OECD)は、知識基盤社会である21世紀を生きるために、次の3つの力の育成を参加各国の幼児教育に対して求めています。
・自律的に行動する
・異質な立場の人と協同的にかかわる
・言葉や道具を状況に応じてうまく使う
国ごとの歴史・価値観・政策などの特色を反映しつつ、生涯学習に必要な力を意識した幼児教育のカリキュラム整備が進められています。
「乳児期とともに幼児期、とくに5歳~7、8歳は大事」という考え方はどの国でも認識され、5歳児の教育・保育をどのような内容にすれば、その後の子どものよりよい発達につながるかは、欧米に限らずどこの国でも重要視されています。
幼児教育・保育への投資は、社会にもたらす経済的効果が高い
平成24年1月、ノルウェー・オスロで世界34カ国から約200名が参加して開かれた「ノルウェー/OECD就学前教育・保育ハイレベル円卓会議」。
その会議では「質の高い就学前教育・保育への投資が経済的及び社会的に重要である」ということに焦点を当て、各国の取り組みが報告され、議論が行われました。
特に注目すべきポイントは、就学前教育・保育に関する投資効果について、「幼児教育・保育への投資は、社会全体にもたらす経済的効果が最も高い」としたことです。
ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・ヘックマンによる研究成果などが紹介され、
「幼児期のスキル形成はその後の人的資本形成の基礎をつくる。学びは更なる学びへとつながる。幼児期への投資は重要である」
とした内容を、世界各国の教育関係者が集うOECDの場で強調されたことが、海外諸国の幼児教育への認識を変える大きな背景となりました。
世界の教育に対する考え方
では実際に、日本と海外の教育の違いはどういったものなのでしょう?
教育の違いはそもそも、教育に対する考え方の違いからあるようです。
海外と日本における教育の違いについてまとめてみました。
🔶個性の尊重
欧米では、小さい頃から自己主張ができるような教育をしているところがほとんどです。
日本でも最近は、個性の尊重を重視するという考えもありますが、やはり、多くの子どもたちと一緒であることに安心してしまうことが多いようです。
しかし、欧米では、子ども達を集団として型にはめるのではなく、一人一人の個性に合わせて、能力を伸ばす教育が重視され、常に自主性を重んじるように教育しています。
また、幼い頃から、何をどうしたいのか、どう思っているのかなどの自己主張ができるように教育しています。
例えば、日本とイギリスの算数の教育の違いが典型的な例ですが、日本では、「3+5は何?」とか「3×4は何?」という形の質問になり、その時の答えは、「3+5=8」や「3×4=12」であり、答えは1つです。
一方、イギリスの算数教育は、「足して8になるものは何?」とか「かけると12になるものは何?」という質問の仕方をします。
足して8になるもの、かけて12になるものも、答えは一通りではありません。
🔶ほめて育てる
「ほめて育てる」ですが、欧米の幼児教育の根幹は、そこにあるといわれています。
大人になって、色々な誘惑に負けない心、自分を大切にする心を育てます。
ほめられることにより、もっと頑張ろうと意欲がわき、よいところがどんどん伸び、それが自信となって、他のことにもよい影響を及ぼします。
例えば、トイレットトレーニングの際、日本の親は失敗を取り上げて「この前はうまくできたのに、どうして今回はできないの!」と、つい叱ってしまいます。
子どもは叱られたくないというおびえの中で、トイレ作法を身につけていきます。
一方、アメリカの家庭では成功すれば「すごい。良くできた。お前は天才だ」と、ここぞとばかりに思い切りほめちぎります。
ほめられることで子どもは良い気分になり、もっとほめられようとする中で、トイレのマナーを覚えていくといいます。
🔶自立重視
幼いころから、食事、排泄、衣類の着脱などの身の回りのことができるのは、当たり前と考えているようで、教師は子どもと一緒に遊び、心身の発達は助けますが、子どもの行動に対しては、直接手助けすることはありません。
子どもの行動を見守り、子どもの自立心を養うことを中心とした教育を行っています。
例えば、添い寝に関してですが、欧米では子どもは、生後すぐに別室で寝かせ、夜泣きは夫が見に行くという家庭が多いそうです。
夫婦の寝室は夫婦のもので、子どもは子ども部屋で寝るべきだとアメリカ人は考えており、逆に、日本人がなぜ一緒に寝るのかが分からないというほど、当然のことなのです。このようにして、幼いころから欧米の子ども達は自然と自立心が育ちます。
🔶小学校でも留年や飛び級がある
海外では義務教育の小学校でも飛び級がよくしられていますが、留年もあります。
先生がその生徒の学習レベルが達していないと判断した場合は、その学年をもう一度繰り返さなければなりません。
また留年ではありませんが、早生まれの子供の場合、お親の希望で入学を一年遅らせる事も可能です。
一方、日本の小中学校での飛び級は認められていません。
海外では日本より、年齢よりもその子にあった「学力」が重視されるようです。
そういった意味では学年終了時の通知簿には「来年お勧めの学年」が明記されています。
次の学年に上がる学力がついていないと判断された時は留年も勧められます。
フィンランドではとりわけ、低学年時を重視し、学習のつまずきの早期発見によって、学習困難の子どもの問題発生を最小限に抑えています。
🔶給食がない
アメリカでは、お昼の時間に近所の家から自分の親がやってきて、ボランティアがてら自分の子どもと一緒に担当の先生が子どもたちをみます。
ピザとか、ハンバーガーなど、日本の給食に比べるとヘルシーではないようです。
🔶掃除の時間や当番がない
アメリカの学校には掃除の時間がなく、学生は掃除をしません。
そのため、学校は他の職員を雇います。
中学校と高校に、教室を変えるのは教師ではなく、学生です。
そして、アメリカの学校は文化祭と体育祭を行いません。
🔶保護者が積極的に学校に関わる
PTAの活動が極めて活発で、PTAの役員を選定するのに、多くの日本の今の学校で起きているような誰もPTAになりたがらずに、PTAの役員選定が困難を極める、というようなことはまず起こりません。
アメリカでは、親のボランティアなしでは授業が成り立たないと言っても過言ではありません。
生徒のファイルにプリントを入れたり、宿題の添削をボランティアの親がやることも少なくありません。
そして、アメリカでは、小学校の遠足に親がついていきます。同行する保護者は、先生の補助として手伝いをします。
🔶塾があまりない
日本ほど「塾」産業が発達していません。
学校の勉強をしっかりしていれば十分、子どものうちはいろんなことを経験させてやりたい、という風土を感じます。
そのかわりに、親は学校教育には積極的に参加して「知ろう」と、積極的に意見をします。
幼児教育 幼少接続において
幼児教育・保育において、単に文字を読める能力や計算能力のみはなく、自分の考えをまとめたり、表現したりできる能力も問われるようになっています。
イギリスでは、教育・保育内容に、挑戦を伴う活動に対する評価指標が盛り込まれています。
発達に遅れのある子どもを伸ばすことにとどまらず、秀でた能力を持っている子どもを伸ばすことにも力を入れているためです。
欧州を含めた世界各国では、1980年代〜1990年代前半にかけて、経済的貧困層の子どもや発達障害のある子どもに対して、早期教育を行う重要性が認識されていました。
しかし、2000年以降、「早期に発達の見られる子どもも、発達に遅れが見られる子どもも、両方、質の高い幼児教育を受けることが重要」という認識に世界各国が移りつつあります。
日本でも2008年の幼稚園教育要領改訂・保育所保育指針の改定のあたりから保幼小連携・接続を重視する動きが、行政主導で始まりました。
しかし、行政から指定を受け、幼少接続に取り組む保育園・幼稚園の中には、接続カリキュラムの作成負担に苦労している園もあります。
幼少接続に必要となる、特別支援への配慮・保護者との連携などを踏まえ、入学前から適用する「アプローチカリキュラム」と入学後に適用する「スタートカリキュラム」の両方を作成するには、各園に大きな負担が伴います。
その影響から導入が遅れ、欧州のように幼少接続の検証が十分に進んでいないという現状です。
*「幼少接続」とは、幼稚園や保育所、認定こども園における幼児期の教育と小学校における児童期の教育が円滑に接続し、子どもに対して体系的な教育が組織的に行われるようにすること。
子どもの発達や学びの連続性を保障するため、両者の教育が連続性・一貫性を確保することが必要とされている。
NEVER まとめより出典
学力世界1位 フィンランドの教育
世界で最も学力の高い国といえば「フィンランド」。
その教育とはいったいどんなものなのでしょうか。
国際経済力にも直結するフィンランドの高水準の教育
フィンランドでは高福祉・高負担を支える公共の精神を育む教育を中心におき、『教育こそが国家の貴重な資産』とみなして大事にしてきました。
そのため、教員の社会的地位、信頼の高さは、教職をもっとも優秀な人がつく職業にし、教員組合の力も大きいようです。
平等で均等な教育を受けることができる
フィンランドでは、1クラス20人前後と少人数制で授業が行われ、勉強が苦手な子には補習制度なども行われ、特別学力の低い子ができないような教育システムができています。
そのため、学校内でも他学校との間にも学力の差が少なく、国内全体で一定の学力の維持を行っています。
格差をなくし、どこでもいつでも学べる学校にして、学級内では学力差に応じて個別指導ができるようにし、その結果、国全体の学力差を最も小さくしながら、国際的に学力を最も高くしています。
全国いっせい学力テストのような国レベルのテストはもとより、地域レベルでのテストもありません。
質のいい教師
フィンランドでは、子供達からの教師への憧れが強く、なりたい職業ナンバー1の職業とされています。
日本の優秀な人たちが、主に官僚、弁護士などになる人が多いのに対し、フィンランドでは教師になります。
フィンランドは、ヨーロッパで唯一修士号を取得した人のみが教師という職業に就くことができます。
そのため、必然的に教師自体の学力が、他国と比べ高いようです。
そして、教師の勤務時間は少なく、ほとんど授業時間のみ。日本のように部活動や課外授業などで多大な時間を費やすことがなく、そのため教師が授業に多くの準備時間を割けることができます。
まとめ
いかがでしたか?
私自身、日本以外の教育を受けたことがないので、海外の教育についてはとっても興味がありました。
日本社会では「常識」といわれているものでも、海外では常識ではなかったり・・・。
当たり前ですがそんなことがあるんですよね。
海外と比較してみると、この考え方素敵!でもこっちは共感できない…なんてものもあります。
わが子が幼稚園に入園するとき、園長先生に「シュタイナー教育ってどう思われますか?」と聞いたことがありました。
すると園長先生は「日本の社会では、難しい教育だよね」といわれたのをよく覚えています。
「郷に入っては郷に従え」と、よくいいますが、日本の社会のなかで生きていくためには日本の教育って必要なのだなと改めて感じました。
さまざまな国の教育を見てきたなかで、「国家の品格」の著者藤原正彦氏が言うように、日本人であることに誇りと自信をもって教育に取り組んでいくことも重要だと思います。
また、欧米の教育のいいところを取り入れていくという姿勢も必要で、私達は、柔軟な考えを持ちつつも、自分の信念を持って、子どもと向かい合っていくことが大切だと思います。
10年、20年後の未来はどんな世界になっているのでしょう。
子どもたちの未来が明るいものであるように、大人が子どもにできることはなにかを考えたいと思いました。
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