わらべうたで運動機能があがる!?わらべうたあそびの役割と意義
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最終更新日:2020/05/06
わらべうた
目次
わらべうたと子どもの体 歌と動きで感性豊かに
わらべうたを遊ぶとき、子どもたちは当然わらべうたそのものを練習しているわけです。
歌うこと、一緒に歌うこと、やめること、動くこと、動きを変えること、そろって動くこと、歌いながら仲間の声を聞くことなどが含まれています。
しかし、子どもたちは大人の”まじめな練習意図”とは別にふざけてみたり、笑い転げてみたりすることがあります。
積み木を摘むことと同じように、それを壊すこともやりたくてたまらないことだといわれます。
くり返す喜びのために崩す喜びがある?
せっかく積み上げていったあげくに、それを崩すことがあそびの”ミソ”なのです。
そしてだんだんと、どうしたら壊れないかに関心が向いていきます。
子どもはだれかが失敗したようなときにも笑うことがあります。
これは「あれっ、まずかったな」という感情(当惑)表現、ないしは緊張が生むふるまいといえます。
柔らかい雰囲気、ユーモアを歓迎する姿勢、失敗が挫折にならないかしこさは、小さな子どもたちが音楽をするためになくてはならない事柄です。
いろいろな感情がたくさん流れるということは、音楽することの本質です。
子どもたちはわらべうたの中でも、このことを実行しているのです。
たとえ”不適切”に思われても、抑制してしまえば音楽的情動の灯も消されてしまいます。
しぐさ遊びはイメージが大事
しぐさ遊びにかかわるイメージは(おなべ、かじ屋など)想像をふくらまし、気分を出すことにその役割があります。
直接目に見えるしぐさやその形にこだわることは危険です。
音楽で用いるイメージは、視覚的なもの、目に見える形よりも、むしろ動きの性質や光・香り・重量といった感覚的想像に働きかけるものです。
何かを感覚する時、何か繊細なもの、とても珍しいもの、大事なものに触れるとき、だれでも柔らかく、指先の本の少しの表面で触ろうとするでしょう。
こどもは大人よりずっと不器用で、何かを感覚したり、感じたりするときに身体全体を使ってすることが普通ですし、それが子どもらしさでもあります。
それと同時に、子どもはすでに生後10か月で指先をつまむという能力が備わっているのです。
模倣の喜び
しぐさをすることは、模倣期になる子どもにとって大きな喜びです。
しぐさをすることによって、自分でないものになれるからです。
男の子もお母さんになってみる、女の子もかじ屋になってみる。
男の子だから、女の子だからというイメージだけでなく”なってみる”おもしろさがありますね。
子どもはしぐさ遊びを通して、さまざまな、あまり身近ではない動物、道具、職業、人間などを体験的に知ることができます。
一般的には表現あそびなどといわれますが、わらべうただけではなく、コミュニケーションや思考を発達させる課題でもあります。
模倣によるしぐさや動きを発達させるのに大事なことは観察能力を発達させることです。
小さいときは模倣しようと思うものにまずはなってみることでよいのですが、回を重ねるうちに、月齢が進む中で、そのものの特徴や動作化されるように子どもたちを方向づけましょう。
”歩き”について
人間は二足歩行の生き物です。
運動機能的に歩行が完成する時期は4歳といわれます。
歩行には、足だけ、体の移動だけ、つまり方便の問題だけではなく、それ以上のものが含まれています。
都市化が人間の生きる空間を日々狭め、クルマ空間を広がる一方にしている社会の現実の中で、近年、若者たち、子どもたちの歩き方の退化には心を痛めさせるものがあります。
2足歩行はヒトという種の特徴です。
さらにその一人ひとりの歩き方は千差万別で、個性の一部ともいえます。
これほど私たちにとって特徴的な歩きを、スポーツと同じように大事にし、一生そのバランス、テンポ、無駄のなさ、はた目の美なども含めて磨く必要があります。
足先を使うことと手先指先を使うことは、大脳の働きにも直接で好ましい刺激を与えます。
子どもたちの歩き方をよくするためには、次のようなことが大切です。
- 保育士は自分の歩き方を知っていること。よい(正しい)歩き方、美しい歩き方について基本知識を持つこと。
- 保育士はできるだけ正しく、美しい歩き方が習慣化されていること。
- 保育士は歩きの運動メカニズムを理解し、子どもの歩き方の観察ができること。その子どもの年齢と発達の独自性を知って、子どもたちの歩き方をよくするための助けを提供できること。
わらべうたが遊びであるというのは、具体的には歩くという運動がきわめて多いことを意味しています。
ですからわらべうたが上手になる、楽しくできるということは、歌い方と歩き方にかかっているわけです。
全ての歩きには空間知覚と方向感覚が伴います。
これも、小さい子どもにとってむずかしいことです。
ことにわらべうたでは、輪になってまるく歩くことから始まるし、それが基本的な運動形態なので決してやさしいことではありません。
歌をうたいながら歩くということは、それだけでも、子どもたちにあそびに似た喜びを提供します。
わらべうた遊びの中で、ある曲をそのときは遊ばないで、遊戯的な歩きの練習に使うこともできます。
大人が先頭に立ってうねり歩いたり、大人はときどき歌を助けるだけにして、子どもたちがバラバラに好きなように歩くとか、一人で歩くことと二人で手をつないで歩くことを交互に組み合わせるなど、さまざまな方法を工夫することができます。
3歳児の歩き方
まだ、平衡感覚、空間知覚、方向感覚ともに未発達です。
手をつないでの歩きでは、じきにぐちゃぐちゃになってしまいます。
一緒に動くことの喜びが大きいせいでもあり、思考もまだ自己中心的だからです。
3歳児には短いトナ文句や歌を選んで、いろいろな歩きを楽しみましょう。
シコをふむように、忍び足で、又バラバラな方向に歩く。立ってその場で自分のまわりをまわるなど。
手をつながないで歩くことと、止まってしぐさをすることとを適宜に組み合わせることもよい遊びになります。
人数が多いとき、少ないとき、場所が広く取れるとき、とれないとき、時間帯による子どもたちの気分のちがい、等々を考慮に入れて、少しずつ積み重ねていきましょう。
4歳児の歩き方
美しい歩きに向けて少しずつ準備を始めることができます。
その経過の中でめざすことは、しぐさが”スマート”(柔らかく、つながったもの)になっていくこと。
しぐさを始めるとき、変わるとき、手先指先の感覚を生き生きとその動きに向けること(前の拍からのつながり)。
役が布などをもってまわるとき、指先だけで軽く、美しくもてるように、などです。
手をつないで歩くときに互いの手を手先だけで軽く握りあう習慣を作っていきましょう。
そのために、輪になって立った時、手をにぎる、にぎったら離す、を繰り返す遊びをしましょう。
ある曲を1回しぐさで遊んだら、2回目は手をつないで歩くということも有益です。
この種の練習のおかげで、子どもは手をにぎるときに、体の重心を隣の子へ傾けないで、立つこと、そして歩くことを学びます。
それまでは、どうしてもよりかかったり、ひっぱったりが多くなるのです。
手をつないで歩くとき、顔を歩く方向に向けることはできる子もできない子もいるでしょうし、橋をくぐるときや二人組で歩くときなどに幼い手のつなぎ方にもどることもあるでしょう。
子どもたちには、歩き方以外にも楽しみたいこと、経験してみたいことがたくさんあって当然なのですから。
いろいろな歩き方を楽しむときに、大人が一緒に歩かない方がよい場合も少なくありません。
また、子どもたちだけで歩く場合には、大人が手拍子などで拍をとった方が上手くいくことも考えられます。
子どもたちの歌や歩きを軽やかな手拍子でリードすることは、決してやさしいことではありませんが必要なことです。
大人も自分の鼓動感や内的聴感をつねに発達させましょう。
5歳児の歩き方
これまでの積み重ねの上に、隣の子と手先だけで手をつなぎ、顔を歩く方に向けて、その子なりに美しく歩けるようになることが1年間の課題でしょう。
橋や門の下を、手をつないだ2人組でくぐるとき、2人のうちのどちらかが先になって、つまり”たてになって”くぐる習慣も形成したいものです。
うずまき、うねり歩き、ことにそれが反対方向に戻るときなどもぐちゃぐちゃにならないで歩けるとよいでしょう。
先頭になる子どもの月齢や運動発達(ことに空間知覚)によっておおいに違うはずです。
年長の子どもたちの歩きをよくするためには、クラスの子どもたちの発達や経験をよく見きわめて、必要であれな3歳、4歳児クラスの課題にも立ち戻りながら積み重ねていくことです。
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