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どこへ向かう?平成の日本の教育

公開日: : 日本の教育

     

日本でも全国一斉に統一学力テストが始まり、学校を外部機関が評価する査察制度の導入が実施されるようになりました。(2007年)

安倍内閣の「教育改革」が着々と進んでいます。

そのモデルはイギリスのサッチャー首相が1980年代の終わりに行った教育改革だといいます。

2006年安倍首相は「ぜひ実施したいと思っているのは、サッチャー改革が行ったような学校評価制度の導入である」と述べました。

安倍首相が「ぜひ実施したい」というイギリスのサッチャー教育改革とは、一体どのような教育なのでしょう?

世界の教育背景とともに、日本の教育の変化を見ていきます。

 

教育の見本はイギリス?日本?

「サッチャー教育改革」とはどのような背景から生まれてきまものなのでしょうか。

第二次世界大戦後、日本にはアメリカから「新教育」が持ち込まれました。

これは「子ども中心主義」という、子どもの興味や関心から発する学習を重視する教育でした。

教育方法も、子ども対の経験や学習活動が大幅に取り入れられるように期待されていました。

これがいわゆる「進歩主義教育」です。

旧「教育基本法」(1947年)には「自主的精神に充ちた」(第1条)国民を「自発的精神」を養うことで育成しようと書かれています。

「日本国憲法」(1946年)には地方自治が重要な要素として書き込まれています。

このような立場は1990年以降のフィンランドにきわめて近いものでした。

しかし、日本は別の道を歩みはじめます。

「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(1956年)による教育委員会制度の修正、全国画一的な「学習指導要領」の告示(1956年)は転換点でした。

その後、高度成長の時期に日本は「進歩主義教育」を捨てたのです。

1954年から1966年にかけて「全国学力調査」いわゆる「全国学力テスト」が実施されます。

その後、全国規模の学力テストは廃止されますが、現実には市販テストや、県や市レベルの「実力テスト」が普及し、テストが日常化していきます。

テストが測る点数に基づく学力競争が一般化したのです。

 

教育改革!イギリスの失敗とフィンランドの成功

一方でイギリス、フィンランドは日本が捨てた「進歩主義教育」を拾い上げます。

1990年代はフィンランドの教育にとって大きな転換期でした。

国レベルの教育行政機関の再編、視学官制度や教科書検定制度の廃止、授業時数配分の弾力化、カリキュラムの大網化など、規制緩和と権限委譲をすすめ、それまで中央集権的とされてきたフィンランドの教育行政をな分権的なものへと変容させます。

国による規制を緩め地方や学校に裁量を大幅に認めた点において、一方で格差の拡大や教育の質の低下を招いているのではないかという懸念を生みますが、その結果すすめられたのが質を保証するための仕組みをの構築でした。

地方自治体の責任のもとで行われる学校評価や教育課程の把握を目的とした全国テストなどPDCAサイクル的な枠組み的な質保証の取組。

国は教育課程の習得状況をチェックする基準となる到達目標を「全国教育課程基準」の中に、学校の管理運営に関する諸活動についての指針を「基礎教育の質の基準」にそれぞれ定めています。

これらは、学校と地方の裁量を尊重しつつ、国として教育の質を保証することを企図するもの。

「競争やめたら学力世界一」はこういった教育改革の動向があったのです。

 

イギリスが全国的に「進歩主義教育」に突入するのは「プラウデン報告」1967年以降であるといわれます。

ところが、1980年代イギリスは深刻な経済衰退に苦悩していました。

そこで高度成長期の日本を見習い、中央集権的に国家で統一的な学力を規定し、教科書に基づいて一斉授業で教師が教え、生徒が学ぶという教育を復活しようとしました。

保守党のサッチャー首相は

「イギリスの最大の課題は教育の質の向上である。

アメリカ、ドイツ、日本との経済競争に負けないためにも、よりよい教育を受けた若者が必要である。

イギリスの未来をかけて教育改革に取り組まなければならない」

と述べ、1988年に「教育改革法」を成立させました。

これが「サッチャー教育改革」です。

サッチャー教育改革では4つの柱となる指針を出しました。

1・全国共通のカリキュラム(ナショナル・カリキュラム)と統一学力テストの導入、

2・統一学力テスト結果の公表と親への学校選択権の付与
➔テストの結果を公表することで学校を競争させ、親に好きな学校を選ばせるという「市場原理」を適用するもの

3・学校の自治保障
➔地方教育局の権限を弱めるという狙い

4・学校査察機関の設置国家による強力な学校査察制度が導入され「地方分権型」から「中央集権型」へ
➔「学力向上」を至上命題としたこの改革は、学校現場への国家の強い介入を伴うもの

このようにして比べてみるとフィンランドとイギリスはまったく違う道を歩み始めたことが分かります。

そして、2007年。

おかしなことに日本は、日本の教育を取り入れたイギリスの真似を始めたのです。

 

現在のイギリス教育について知りたい方はこちらへ⇒イギリスの学校教育

 

大丈夫??心配すぎる・・・日本の教育

国レベルの教育行政の主要部分を担っているのは文部科学省です。

文部科学省の任務については

「教育の振興及び生涯学習の推進を中核とした豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成、学術及び文化の振興科学技術の総合的な振興並びにスポーツに関する施策の総合的な推進を図るとともに、宗教に関する行政事務を適切に行うこと」(第3条)

となっています。

いいたいことはなんとなくわかるのですが、実際何をするのかまったくわかりません(笑)

 

そして、文部科学省の具体的な役割の一つに教科書発行があります。

民間の教科書発行者は、学習指導要領や教科書図書検定基準などをもとに創意工夫を加えた図書を作成し、文部科学大臣の検討の申請を行います。

文部科学省は調査審議会に諮問を行い、審議、判定、報告、合否、通知を行います。

こういった経緯を通して教科書が全国に供給されます。

しかし、私は娘の教科書を見て愕然としました。

なぜって?

 

娘の教科書は30年前に自分の受けた授業内容とほぼ変わっていなかったのですから!

パソコンやスマホなどがこんなに普及して、子どもに機械をもたせている今の時代に、30年前と同じことを学校でやっているなんて!!!

日本社会が変わり、子どもをとりまく環境も変わってしまった今、昔と同じことをやっていて発展することができるのでしょうか?

学校での授業についていけない子どもたち、学校にいけない子どもたちが年々増加していることに国は対策をとるべきではないのでしょうか。(ちょっと熱くなってしまいましたが・・(-_-;))

学校の授業が分からない、だから塾に行く。だから家庭で通信教育を行う。

これでは学校へ行く意味とは一体何なのでしょう。

今は教育を選ぶ時代です。

日本では認可されているところはまだまだ少ないですが、オルタナティブスクールも増えてきています。

30年前に受けた教育の成果は、今の大人たちを見ていればすぐにわかります。

いまの子どもたちが大人になったとき、どんな社会になっていると思いますか?

 

通信教育ベネッセの問題点

2007年に開催された「全国学力テスト」で小学校部分の採点をしたのはベネッセ・コーポレーションという教育産業でした。

ベネッセは旧来の教科書の枠にとらわれない教育方法に注目して、先駆け的な取り組みをしています。

ベネッセは記述式テストでいかにうまく表現するか、「考えて書く力」の養成という点にビジネスの主要点をしぼります。

しかし、フィンランド・メソッドを日本に広めた北川氏は「重視するべきは内容よりも論理性だ」と指摘します。

「意見を書いたならば、その根拠がきちんと書かれているかどうか、根拠は適切なものかといった点が評価の対象になるのです。」

「思いつき」ではなく、「基準や尺土をもって考え、判断しているか」という点が重要なのです。

家庭で行う教材では、意見の対立のなかで自分の意見を修正するとか、それぞれの意見をお互いに修正し合うというような過程には関心が向けられていないのです。

そのため、「内容」も「表現」も一方的になってしまうかもしれないという危険性をもっているのです。

 

まとめ・・・?

学校の授業でついていけなくなることがわかっているから、家庭通信学習というものがある・・・

それって、どうなの??

「子ども」を消費者というターゲットにして食い物にしているように感じてしまいます。

しかし、国の教育制度に疑問をもつからこそ、こういった教育方針は?と提示してくれているとも思います。

 

教育に興味をもったのはほんの些細なことからでしたが、わが子が生まれて子どもを育てる立場になると、教育制度に矛盾があることに気付くようになりました。

なぜ?わが子は学校がこんなにも嫌いなの?

なぜ?学校へいくの?

なぜ?憲法で教育を受ける権利が保障されているのに、無料の国公立と有料の私立しか選べないの?

大人になってからこんなにも「なぜ?」と知りたくなるとは思いもしませんでした。

「なぜ?」と不思議に思う探求心。

これが学びを深めるということを、シュタイナー学校へ入学してから知りました。(余談ですが、娘は公立の学校が合わなかったため、シュタイナー学校へ転入をしました)

一方で、世界で学力一番といわれるようになったフィンランドの教育。

大人である社会が子どもを守り、育てている様子がうかがえます。

日本の教育はどこへ行こうとしているのでしょうか・・・。

今、ではなく未来をみすえた教育改革が切望されます。

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