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オルタナティブ教育とは?さまざまな教育の種類

公開日: : 最終更新日:2019/04/16 世界の教育

     

オルタナティブスクールとは

オルタナティブという言葉には『何かに取って代わる』、『もう一つ別のやり方』というような意味合いがあります。

つまり、オルタナティブ教育というのは、既存の教育に取って代わる別の教育という意味です。

ここで既存の教育といわれるのは、長い間習慣とされてきた、同じ年齢の子どもを一つの教室に集め、先生が教壇に立って、主に一方通行で知識を伝達し、子どもはそれを受け身で習う、という形式の教育、と考えます。

オルタナティブ教育は、幾人もの教育哲学者、教育実践者が、そのような既存の学校教育に疑問を投げかけて新たに生み出してきた何種類もの教育方法の総称です。

 

オルタナティブ教育が生まれた背景

子どもの個別能力に基づく個別の発達を重視する態度や、子どもを社会的存在と位置づけ、一つの理想的な社会へむかっていく子ども、権力などに批判的に立ち向かう子どもをそだてようとしたオルタナティブ教育。

オルタナティブ教育はいずれも20世紀はじめのごく短い時期に一斉に生まれてきています。

それはどのような社会背景があったのでしょう。

 

イタリアのマリア・モンテッソーリは1896年にローマの病院で精神障害児の養育にかかわり、1907年にはスラムの子どもたちの学校『子どもの家』を作り、世界の教育学者の注目を引きました。

ルドルフ・シュタイナーがシュトゥットガルトの煙草工場の労働者の子どものために学校を開いたのは1919年。

同1919年にニューヨークでは、ヘレン・パーカーストが、チルドレン・ユニヴァーシティ・スクールを設立し、ダルトン教育の基礎を築いています。

ペーター・ペーターセンがドイツのイエナ大学で実験教育を始めたのは、1924年で同じ年に、フランスのニースではフレネが貧しい工場労働者の子どもたちのためにフレネ教育をはじめています。

 

オルタナティブスクールは、20世紀のはじめ、産業化や都市化といった大きな社会変動の時期に、都市の子どもたちの教育を対象としてはじまったもの。

1860年ごろから1920年ごろまでのヨーロッパやアメリカの主要都市では、人口が爆発的に増大しています。

産業形態の変化のよって、都市の労働市場を目指して多くの人口が急速に都市に集中してきたことがわかります。

それまでは、ほとんどの人が従事していた農村の生活や、都市での小規模の手工業を中心とした生活から、都市の工場での賃金労働への転換という生活様式の激変を伴うものであったことを想像させます。

それまでは子どもたちは伝統的な共同社会のなかで、家族や近隣の人々に囲まれて、また仕事場や生活の場が重なった目に見える具体的な社会のなかで育ってきていました。

しかし、急激な都市化とともに生まれた、新しい賃金労働者の子どもたちは、そうした伝統的な人間関係や社会関係を奪われ、機械的な賃金労働の、しかも劣悪な労働条件や生活条件のなかで生活する親の元で育つことになります。

このような子どもたちが人間として、また、社会の一員として成長できる場を用意することが都市の学校教育にとっていかに切実な問題か、と感じていた教育者は少なかったことと思います。

社会の大変動とともに人々の価値観が激しく揺り動かされたときに起こったのが、オルタナティブスクールだった、といえるかもしれません。

70年代世界の先進国は、日本も含め、若者が既成の価値に対して疑問を投げかけた時代でした。

ベトナム戦争や冷戦体制といった世界の政治権力の対立、急速な産業発展に伴うさまざまな公害・環境汚染問題など現実に直面して、経済発展だけではなく人間性の回復を願い社会の安定や協調、世界の平和のために何かをすべきではないか、と考えはじめました。

1920年前後に社会の急激な変動のなかで人間性を回復するために考案されたいくつものオルタナティブ教育がこの時期に急増していった理由がわかるような気がします。

 

オルタナティブ教育の種類

🔶モンテッソーリ教育

🔶シュタイナー教育

🔶イエナプラン教育

🔶フレネ教育

🔶ドルトンプラン教育

 

オルタナティブ教育の2つの共通点

オルタナティブ教育を見てみると、そこにはいくつかの共通した考え方がみえてきます。

一つは科目ごとの知識達成目標を設定して子どもをその目標に近づけるために育てるのではなく、子ども自身を出発点として、子どもの自発的な好奇心や探求心を刺激し、それぞれの子どもがもって生まれた独特の性質や能力に応じてその成長を助けるのが教育である、と考えていること。

二つ目は、いずれも子どもがおかれている生活環境、その延長線上にあるより大きな社会や世界とのかかわりを重視しているという点です。

子どもを学校という隔離された世界に閉じ込めるのではなく、家庭、近隣、まわりの自然界との関係、教師と子どもとの関係、子ども同士の関係などを通じて外界との関係に目覚めさせ、人間と人間をつなぐ社会的な行動を学ぶことの重要性をもっています。

 

オルタナティブ教育の特徴

個性を育てる

モンテッソーリ教育では、読み書き計算を教えるのに子どもたちが実際に手に取って触れることのできる具体的な教材を作り、先生が刺激を与えることによって、子ども自身が発見しながら学ぶことを重視しています。

ドルトン教育では、子ども自身が自分で決めた役割を実行する、という子どもの内発的な要求、自発性の尊重がみられます。

フレネ教育が強調しているのも、子どもの積極性、自立性、好奇心です。

イエナプラン教育では教育の20の原則のなかに記されている通り、子ども、個人の尊重についてかかれています。

シュタイナー教育でも、個々の子どもの自発的な発達を大変重視しています。

外界や社会関係に目を向ける

モンテッソーリ教育でもイエナプラン教育でも3つの異なる年齢の子どもたちを同じグループにまとめています。

どちらの場合も現実生活では家族は、年齢の異なる個人の集団であるという考えに基礎があります。

フレネが強調しているのは、子どもや大人が自分のおかれている環境、ひいては世界を批判的に見る精神です。

子どもたちを取り巻いている社会に対して、受け身にあるがままを受け入れることではなく、意識して観察し、改善のために積極的にはたきかける精神を育てるためです。

国家干渉からの自由を主張してきたシュタイナー教育もこれに似た権力からの独立性、社会に対する批判的で、同時に積極的な態度を教えるものです。

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